舞 の 心           藤 上  南 山 著

     

      は じ め に

                                                                                    藤 上 南 山

 

  紋付に袴を着け、白足袋を履いて静かに立てば、何かしら不思議と身の引き締まる思いがします。また、それを見ている側にも、日本人の奥ゆかしさを感じさせてくれます。

最近の慌ただしい日常から離れ、私たちが求め続けている「日本の心」を舞う吟剣詩舞ですが、さらに奥深い芸術性を身につけていきたいものです。

 

  さて、日本の習い事には古くから『守・破・離』の三段階があります。「守」は基本をしっかり身につけることであり、「破」はその上に立って様々な応用動作を身につける段階です。「離」は今まで習得した基本動作、応用動作を意識しないでおこなえるようになることです。つまり、基本動作を覚え守っていただけでは、上手な舞手とはいえず、その基本の上に様々な応用動作を取り入れ破る。次の手はこうだとか、次の足運びはどのようになどと意識していたのでは、いかにもぎこちなく、そうした意識から離れた時こそ初めて上手な舞に一歩近づけるといえます。

いずれにしても、どんなに慌て急いでも、汗をしっかり流さなければ納得のいく舞は得られません。順序を追って一つ一つ積み重ねていくことが肝要です。さらに、この『守・破・離』の順序に従って習得していくとともに、舞に対しての理論を身につけることも欠かすことはできません。

 

  剣道において『理業一致』という言葉があります。「理」は理論であり、「業」は技・術(わざ)です。理を伴わない業(わざ)は進歩が遅く、業を伴わない理は空理空論となおさら役に立ちません。順序としては、まず業を修めながら理に進み、さらに業を重ねるに従って理を深めていくのが正しい歩み方だといえます。

 

   私たちは各流各派の先輩たちが残してくれた吟剣詩舞の文化を、その伝統を受け継ぎ、さらに魅力ある剣詩舞を目指し、後世に引き継いでいかなくてはなりません。今や剣舞・詩舞の魅力を、またその美を再発見しようとする試みは全国でも満ちてきています。

 

  この度、今まで私が学んできたことを、思いつくままに「舞の心」と題して一冊にまとめました。

少しでも皆様のお役に立てることができれば幸甚です。

 



     ♪ 「舞の心」  一冊  2500円      

 

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