ふるさと岡山漢詩紀行       藤上南山 著

   発 刊 に よ せ て         

                             藤 上 南 山

 

昭和四十九年、第一回藤上南山リサイタルの開催を契機に、岡山県内に伝わる歴史・伝説・民話等を題材とした舞踊曲の創作に取り組むようになりました。更に、同じく古里の歴史を題材にした漢詩も作ることとなり、苦心の末、まがりなりにも一詩できあがり、それ以来、漢詩の鑑賞と同時に作詩にも心惹かれはじめました。

 

詩吟の勉強は些かしてきたつもりでしたが、漢詩についてはまったく勉強したことがなく、約束事の多い漢詩作りに頭を悩ましつつ、それでも二つ、三つと作っては自己満足していました。しかし、これを人前で吟じ舞うということは、まことに恥ずかしい思いがしはじめ、それでは師匠につき本格的に勉強すべきだと考え、愛媛県松山市の伊藤竹外先生のご指導を仰ぐことにしました。

 

伊藤竹外先生は、六六庵吟詠会総本部会長でもあり、日本の漢詩文学界の大家でもあられます。最近では一年に二、三度、先生のご自宅にお伺いし、ご教授を仰いでいます。『平仄はいかに、二四不同、二六対、押韻は正しいか、更に孤平は駄目。』などなど、何と漢詩作りがこれほど難しいとは、と言いながらも字源と首ったけになり、がんじがらめの約束事の中からいかに自分の意を表現できるかと楽しみも増してくる昨今です。

 

そうした伊藤先生のご指導を受け、はや三十年余りとなりますが、その間に、岡山県内の古い歴史の跡を辿っての漢詩作りも、ふと気が付くと百詩余りとなっていました。まだまだ作り足りないものもありますが、このあたりで一冊に纏めたいと思い、稚拙な漢詩ではありますが編集しました。

 

この程、浅学にも拘わらず私がこの漢詩集を発表するのは、岡山県の古き事柄やその歴史に対し、また美しい自然に対しての熱き思いを語り、吟じ舞いたいためのものであります。また、詩作に当たり県内各地を巡り、その風景等をスケッチし、素人の絵ですが「挿し絵」として各詩に添えました。 

 

この漢詩集が、岡山県内の吟剣詩舞を愛する皆様に、そして更に多くの皆様にご愛読、ご活用頂ければ、これ程の喜びはありません。

                                            平成24年10月1日


旭 川 春 望



     ♪ 「ふるさと岡山漢詩紀行」  一冊  3500円      

 

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